野球漫画の金字塔「キャプテン」~谷口タカオ その白球にかける思い~③

マンガ




春の地区予選2回戦、強豪・金成中との戦いを前に慣例を破り、谷口キャプテンは1年生のイガラシをレギュラーに抜擢する。

序盤から苦戦を強いられるが、レギュラー降格の憂き目にあう丸井のために奮闘する墨谷ナインは、見事逆転勝利を収める。

勢いにのった墨谷二中は快進撃を続け、決勝進出を果たすのであった。

ストーリー

学校中の期待もあり、決勝戦を前に浮かれる墨谷ナインたち。
だが、ひとり浮かない表情の選手がいた。
それは、イガラシにレギュラーの座を奪われた丸井であった。

丸井の鞄の中には、いつでも出せるように退部届が用意されていた。
それほどまでに、追い詰められていたのである。

そんな中、谷口は決勝の相手である青葉学院の実力を知ってもらうため、部員たちを引率し敵情視察に訪れた。
プロ顔負けの練習施設に、圧倒されるナインたち。
しかし、それ以上に、青葉の選手たちの実力に自信を喪失してしまう。
とても、同じ中学生とは思えない。

その現実を目の当たりにして、谷口は猛特訓を課していく。




猛特訓

どんな時も諦めない “キャプテン” 谷口は青葉との力の差を埋めるため、猛烈な練習を決意する。
シートノックもバッティング練習も、通常の半分の距離から行ったのだ。

もちろん、全くボールを捕れずに、体中痣だらけになっていく。
常軌を逸したキャプテンの行動に、不満が高まる部員たち。

「キャプテンはノックしてるだけじゃないか。これでは試合どころじゃない。抗議しに行こうぜ!」

こうして、イガラシを除く部員たちは部活帰りに、谷口の自宅に押し掛けた。

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陰の努力

その晩、部員たちが谷口の家に向かうと、どうやら近くの神社に行っているという。
いったい神社に何の用があるのだろう…訝しがる一同。

そして、神社に着くと、彼らは壮絶な光景を目撃した。
大工の父親が作ったノック専用特訓マシーンで練習をしている、谷口タカオがいたのである。
しかも、強烈なボールを至近距離から受け続け、ボロボロになりながら…。

「おい、あれ…俺たちのノックの距離より遥かに短いぜ…」

何度もボールに打ちのめされながら、必死に立ち上がる“キャプテン”谷口タカオ。

さすがの職人気質の父も心配する。

「大丈夫か?タカオ…いくら何でも、ちょいと無茶し過ぎなんじゃねえのか?」

肩で息をしながら、谷口は言う。

「俺みたいな素質も才能もない者は、こうやるしかないんだ…さあ、続けてよ!父ちゃん!」

息子の心意気に「よし!」と気合を入れ直し、心を鬼にしてマシーンにボールを込める父。
いつ果てるとも知れぬ父と子の特訓。

その姿を陰から見つめていた墨谷ナインは、自分たちの行動に恥じ入った。

「キャプテンは俺たちのコーチに追われ、夜こんなところで練習をしていたんだ…」

すると、ナインたちは谷口の想いに動かされ、一斉にランニングしながら家路に就いた。

丸井とイガラシ

ひとり神社の境内に残された丸井は、鞄の中から退部届を取り出した。
すると、退部届を破り捨て、地面に叩きつける。

「うっ、うっ…ちきしょー!」

その目には、涙があふれていた。
そして、「よし!」と拳を握りしめ、走り去っていく。

実は、もうひとり、一部始終を木陰から見守っていた者がいた。
イガラシである。

「なるほど、これなんだな。キャプテンがみんなを引っ張る力は…よーし!そらー!」

イガラシも先輩たちの後を追うように、全速力で駆けだした。


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所感

青春野球マンガの金字塔「キャプテン」。
この名作の数ある名場面の中で、私が最も好きなシーンである。

無謀とも思える練習を課す谷口に、反発するナインたち。
彼らの不満は、ある意味当然だろう。

だが、その奥に隠された“キャプテン”谷口タカオの真意と陰の努力。
必ずしも才能に恵まれているとはいえない谷口たち墨谷二中野球部が、名門・青葉学園に対抗するためには血の滲むような努力をするしかない。
口下手な谷口は、こうしていつも背中で引っ張っていく。

気が弱く引っ込み思案なこともあり、当初はキャプテン就任を固辞していた谷口が、いつの間にか素晴らしいキャプテンに成長しているではないか。
この辺りも、「キャプテン」という物語に惹きつけられる理由だろう。

そして、何といっても丸井である。
キャプテンの心を知らずに、退部しようとしていた己の浅慮。
そんな情けない自分に腹を立て、悔しさや様々な想いが凝縮した涙。
そのシーンは、なんと我々の胸を打つのだろう。
誰よりも谷口を敬愛する丸井だからこそ、痛いほど気持ちが伝わって来るのだろう。

最後の、イガラシの台詞もまた味わい深い。
まるで、我々読者の心の声を代弁しているようだ。

やはり、「キャプテン」は谷口・丸井・イガラシの3人が揃う、この時代が一番心に残る。

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