「闇に降り立った天才」赤木しげるの名言・名場面 ⑮
『死ぬ時が来たなら…ただ死ねばいい』

マンガ




代打ち・浦部を“絶無と偶機”が支配する奇跡の闘牌で葬った赤木しげる。
だが、その後の足取りは、ようと知れなかった。

それから7か月後、千葉県の片田舎に異端の若者が現れる。
ヤクザが開帳する賭場で丁半博打に興じる若者は、毎回のように他を寄せ付けない圧勝劇を演じていた。

そう…その男こそ赤木しげるであった。

ストーリー

毎月2回、倉田組主催の丁半博打が開催される。
客人を生かさず殺さず、倉田組は安定的にしのぎを得ていた。
20歳そこそこの、白髪の若者が来るまでは…。

その若者は3ヵ月ほど賭場に出入りしているが、負け知らずである。
あまりの勝ちっぷりに、胴元である倉田組も不快感を隠せない。
その若者・アカギの勝ちは、ついに2000万円(現在の2億円)にまで達した。

ことここに至っては胴元のメンツにかけて、このままただで帰すわけにはいかない。
どんな手段を用いてもアカギを潰さんと、まなじりを決する侠客たち。

そして、時計が夜の11時を回り、賭場が閑散としたタイミングで倉田組は暴挙に打って出た…。


アカギ-闇に降り立った天才 7

ギャンブルの天才

アカギは麻雀だけでなく、サイコロ博打もお手の物である。
あれほどの天才である。
麻雀以外でも負けるはずがない。

それを証明するように、百戦錬磨の壺振りも赤木しげるの前には為す術がない。
本来ならば、客の博打真理を知り尽くす壺振りは常にバランスを心がけ、勝ち負けを自在に操っていく。
言うなれば、賭場の命運を一手に握る神の如き存在なのである。

ところが、目の前の若者…赤木しげるは、昔話に出てくる心を読む妖怪“サトリ”さながらだ。
特に、ここ一番の厚く張った勝負では、どう抗っても当てられてしまう。
まるで壺振りの思考を誘導しているかのような雰囲気さえ感じられ、そのことが更に腹立たしい。

だが、限度を知らぬアカギは、とうとう一線を越えてしまった。




暴挙

胴元の若い衆が詰め寄り、あっという間にアカギを取り押さえる。
しかも、アカギを取り囲むように、日本刀を畳に突き刺しながら…。

「命乞いしろ!そうすれば、命だけは助けてやる!」

恫喝する倉田組の壺振り山中。

しかし、これほどの修羅場でも、赤木しげるは山中を見据え怯まない。
さすがの胆力である。

「フン…やっぱりな…動じねえヤローだ。今回は出入り禁止で許してやる。だが、最後に一勝負だ…その組からさらった2000万全てを賭けてな…!」

無茶苦茶な要求を押し付ける山中。
ところが、アカギはあっさり快諾する。
つまり、相変わらず全く金には執着していないのだ。
ここでも、金に拘る倉田組と対照をなす赤木しげる。

そして、一振り2000万(現在の2億)のサイが投げられた

張りつめる空気の中、丁に張るアカギ。
サイコロの目は…。
3と5が出た。

丁でアカギの勝ちである。
ところが、山中は「4、5の半!」と言い放つ。
数をバックに暴力をちらつかせ、有無を言わせぬ迫力で脅しをかける倉田組。
元々、まともな勝負などする気が無かったのである。

「ぬかすなっ…!丁だっ…!」

赤木しげるは食い下がる。

「もう1度聞く…丁か?半か?」

最後通告をする山中。

「たとえ、世界中を支配するような権力者が現れても、ねじ曲げられねぇんだっ…!自分が死ぬことと…博打の出目はよ…!」

そして、赤木しげるは言い切った。

「丁だっ…!」

その刹那、アカギの肩口に日本刀が振り下ろされる。
飛び散る鮮血。

「死にたいのか?俺たちはこの稼業ゆえ降りられない。人一人殺しても…!最後のチャンスだ。この出た目…丁か…半か!?」

山中の言葉を受け、日本刀を上段に構える組員。
いつでも、アカギのそっ首を切り落とす態勢に入った。

「丁…!」

あくまでも、己の信念を貫く赤木しげる。

まさにそのとき、日本刀がアカギの首に落とされようとした。
死を覚悟する赤木しげる。

だが、間一髪のタイミングでアカギの行方を捜していた、悪徳刑事・安岡と倉田組と同門の若頭・仰木が駆け付けた。

赤木しげるは九死に一生を得るのだった。

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所感

このシーンを見て感じたのは、以前アカギが言っていた博打の本質「無意味な死」である。
自らそのことを体現してまで、赤木しげるが守りたかったもの。
それは博打の出目という勝負の結果、そして己が矜持である。

眼前に迫りくる現実の死にも屈せず、己の信念を通す赤木しげるの生き様。
たしかに、これまでも勝負の中で死を恐れぬ異端ぶりを発揮してきた。
しかし、誰も味方がいない密室の中、非合法の暴力集団に日本刀を突き付けられても一歩も引かぬとは…。
しかも、実際に刃で切り付けられ激痛に襲われる中、それでも勝負の結果に殉じようとするのである。

赤木しげるは死の恐怖を破滅に酔うのではなく、目をそらさず真っ直ぐ見つめ、受け入れることができるのだ。

それにしても、「命は捨てても誇りは捨てない」赤木しげるに、私はただ只管に感嘆を禁じ得ない。

その後、病院に搬送され意識が戻った赤木しげるはかく語る。

「あの時、オレに流れる血が曲げることを許さなかった。あそこで降りるくらいなら…死んで本望…!己を曲げて助かった命で一体何をするのか…ただ生き延びても意味などない。死ぬ時が来たなら…ただ死ねばいい!

思えば、赤木しげるは13歳の嵐の夜に降臨してから晩年に至るまで、死を恐れず常に“生”の傍らに置いていた。
そして、“時満ちたなら…ただ死ねばよい”という、死生観のもと生を全うした。

己の矜持に殉じる“神域の天才”。
それが赤木しげるなのである。

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