「闇に降り立った天才」赤木しげるの名言・名場面 ⑨ 治編 『アカギ 作中唯一の動揺シーン』

マンガ




13歳のとき嵐の夜に突如現れてから53歳で安楽死を迎えるまで、裏世界の魑魅魍魎を手玉に取り続けた赤木しげる。
鷲巣や原田、僧我といった怪物を向こうに回しても、一切動揺する素振りを見せなかった。

だが、玩具工場の同僚・野崎治とのやり取りの最中、作中で唯一ともいえる動揺するシーンが登場する。
しかも、その治は工場の先輩達にカモにされるなど、“ノーといえない日本人の典型”のような気弱な若者なのであった。

ストーリー

なぜか、玩具工場で働いているアカギ。
その日、同僚の工員達の顔は綻んでいた。
待ちに待った給料日なのである。

ところが、喜びの日が一転、治には受難が待ち受けていた。
給料日恒例、先輩達との賭け麻雀に駆り出されたのである。
本当は新入りのアカギがメンツに誘われるはずだったが、南郷の訪問を受けバックレた。

実は、先輩達3人組はグルになり、通し麻雀で毎月のように治からむしっていた。
案の定、その日もオケラ街道を驀進する治。

もうお開きかという明け方に帰宅するアカギ。
その場を一目見て、先輩達の悪さを看破する。
そして、治の目の前で鮮やかに先輩たちを討ち取り、大金をかっぱいだ。

薄給に嫌気が差し、工場を立ち去ろうとするアカギ。
すると、先輩達3人組が先ほど負けた金を置いていくよう、アカギに脅しをかけて来た。
だが、一瞬の隙を突き、返り討ちにする。

その様子を見ていた治は一世一代の決心をする。
工場を辞め、アカギについて行くのだと…。


アカギ-闇に降り立った天才 4(本作品収録巻)

困惑する揺れない心を持つ男

赤木しげるといえば「大胆不敵」「怜悧冷徹」を絵に描いたような、悪魔的戦術を駆使する博徒である。
とりわけ、どんな苦境に立たされても顔色一つ変えずに対処する、揺れない心が最大の特徴といえるだろう。

そんなアカギが治に「一緒に連れて行ってください」とせがまれる。
先輩達を軽く一蹴したアカギに憧れを抱いたのだ。
当然、治のことなど相手にせず、トットとどこかに消えてしまうと思っていた。
ところが、消えるどころか、荷物を纏める治を律儀に待っているではないか!

とりあえず喫茶店に入り、話し合う二人。

「赤木さんのようになりたいんです。そばにおいてください」

治に必死にせがまれ、アカギは困惑を隠せない。

「なに考えてんだよ。オレなんかのそばにいると、とばっちりで火の粉がいくこともあるんだぜ…」

アカギの忠告に、治は決意も新たにきっぱりと答える。

「覚悟しています」

その瞬間、店内に黒ずくめの非合法の者達がなだれ込んで来た。
ニセアカギとの麻雀対決を所望した組長が、アカギを連れて来るよう命令したのである。

舌の根も乾かぬうちに、青ざめる治だった…。

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所感

質の悪い先輩達にはらしさ全開だが、治には苦戦するアカギ。
玩具工場で働いていることといい、この頃のアカギは意外性の連続である。

いかにも気の弱そうな見た目の治は、きっと学生時代もスクールカーストの底辺を彷徨っていたことだろう。
だが、そんな吹けば飛ぶような治にもマウントを取ったり、食いものにしたりしない赤木しげるはとてもフェアな男だと感じた。

それどころか、鉄火場では悪魔としか思えない男が、冷や汗をかきながら親身に忠告しているのである。
ヤクザや悪党相手には涼しい顔で渡り合うアカギも、自分を慕う純朴な青年にはいつもと勝手が違うようだ。
もしかすると、揺れない心を体現するアカギが、作中で最も動揺したシーンかもしれない。
アカギのこういった一面も悪くないと感じるのは、私だけだろうか…。

だが、新たな決意表明をした治にアクシデントが襲う。
アカギ共々、ヤクザに拉致されてしまうのだ。
およそ、普通の生活をしていては味わえない非日常的体験。

オロオロする治に対し、アカギは成り行きに身を任せ平然と一服する。
この辺の対比も、非常にユーモラスである。

この後、赤木しげるによって繰り広げられる、“絶無の闘牌”までの小休止といったところだろうか。

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