「闇に降り立った天才」赤木しげるの名言・名場面 ⑬
『絶無』そして『偶機』北待ち

マンガ




これまで、数多の人智を超えた闘牌を繰り広げてきた赤木しげる。
中でも印象深いのは、対浦部戦で見せた“北単騎”である。

まさに、ギャンブルの深淵で“絶無”と“偶機” が支配する異形の地獄待ち…。
その待ちの凄さ・恐ろしさは、とても一言では表現できない。
あえて言うならば、偶然をも味方につける“神域の男”の未曾有の容量・磁場があってこそである。

運・戦略・勝負師としての器…。
その全てが凝縮された“赤木しげる驚異の一撃”を今ここに紹介する。

冷静沈着

南3局。
残り2局となり、浦部との差は7万点を超えている。
さすがのアカギも万事休すと思われた。

親がサイコロを振り、対面の黒服がドラ表示牌をめくった。
ところが、場所を1トン勘違いし、隣の牌を開けてしまう。
すると、他ならぬアカギが冷静に誤りを指摘する。
開けられた「北」を裏返しに戻す黒服。

これだけのビハインドにもかかわらず、赤木しげるは落ち着き払っていた。
その様は逆転への秘策があるとしか思えない。

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“絶無”北待ち

正規のドラが表示され、対局が開始された。
アカギの手牌は劣勢を物語るよう、安め安めと進んでいく。
テンパイを果たし、アカギは四索を暗カンする。
すると、カンした四索がドラになったではないか…。
相も変わらぬ赤木しげるの強運ぶり。

俄かに、卓上に緊張が走った。
アカギのテンパイ形は索子の六六六七という形で、五、七、八索待ちという絶好の3面張である。
そして、リンシャンから北を引くと、七索を切ってリーチをかけた。

この打ち筋に、ギャラリーたちは首を傾げた。
北はすでに場に2枚切られており、いわゆる地獄単騎というやつである。
通常ならば、最も出やすい牌なのだが、この場面では悪手でしかない。
カンドラが乗ったアカギのリーチには、浦部は間違いなく守りを固めてくる。
どうせ出ないのだから、ツモにかけるしかないのではないか。

程なくして、さらなる驚愕の事実に気づいたギャラリーたちは青ざめる。
残り1枚の北は、先ほど誤ってドラ表示牌として開けられていたのだ!
つまり、誰も引くはずのない王牌に埋もれており、実質空テンという絶望的状況なのである。

“絶無”北待ち。

まさかこの大事な場面で、あのアカギがこんなボーンヘッドを犯すとは…。




“偶機”北待ち

アカギのリーチを受け、予想通り浦部は現物を切っていく。
はたから見ると、浦部はイージーモードに見える。
たとえツモられたとしても、大量リードに守られた浦部は直撃さえ避ければいいのだから…。
ところが、実際は危険牌に囲まれ、浦部は苦しんでいた。
楽に見えるのは、アカギの手牌を知っている傍観者だからである。

典型的な対子場模様で、浦部の手牌にも五索と八索が4枚集まりカンできる態勢になった。
残り1巡となり、ついに浦部に安全牌が消え失せた。
だが、浦部には策があったのだ。
最後の1巡に限って切れるジョーカーが…。

五索をカンする浦部。
リンシャン牌を引くと今度は八索をカンし、王牌の奥深く眠っていたリンシャン牌“北”を手繰り寄せた。
この2回の暗カンで、アカギの最後のツモ番が消滅した。

何よりも開局直後に誤ってめくられたことにより、王牌に埋もれていることを知る“北”で待つなどありえない。
相手にドラを増やすカンなど、大量リードの浦部がするはずもないからだ。
しかも、リーチ後1度のみならず、2回カンがなければ引けない場所にあるのだから…。

北を引き、そのままツモ切りをした浦部は心の中でほくそ笑む。
「逃げ切った」と。

パタッ…。
ある筈のない“北”が倒され、凍り付く浦部。

薄笑いを浮かべながら種明かしをする赤木しげる。

「ククク…浦部は今、堅固な金庫のようなもの。生半可なことでは、その金庫から点棒をむしれない。理ではダメ…金庫のカギ穴の入り口で引っかかる。そのカギ穴を満たそうとしたら、別のものの力を借りるしかない。それは“偶然”ってやつの力だ。奴は“偶然そうなる”っていうのに無防備…奴の金庫のカギ穴は偶によって満ちる…!」

裏ドラも大量に乗り、リーチドラ10の3倍満直撃に成功した。
なんと!一気に48000点差を詰める赤木しげる。

赤木しげるは対子場特有の牌の偏りを見抜き、浦部のカンという偶然の産物に己の命運を託したのだ。
そして、吸い込まれるように場に放たれた“北”…。

人は、理は避けられても偶然までは避けられない。
それは…定命の者の計りを超えた“偶機”北待ちであった…。


アカギ-闇に降り立った天才 5

未曽有の逆転劇

迎えたオーラス。
序盤こそ優勢に場を進める浦部だが、中盤以降はアカギの仕掛けに腰砕けになり遁走を繰り返す。
挙句、約束されていたように浦部に海底が回って来る。
そして、結果は…。

またもや浦部は魅入られたように、アカギの逆転手に振り込んでしまう。
たった2局で…7万点以上あったリードをひっくり返されてしまったのだ…。

赤木しげるは浦部という人間の思考や打ち筋を完全に掌握し、狙い打ったのである。
赤木しげるという未曽有の容量に完全に呑みこまれた浦部。

まるで魔法のような赤木しげるの異端の打ち筋に、浦部のみならず、その場にいた全ての人々が戦慄を覚えるのであった…。

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