「闇に降り立った天才」赤木しげるの名言・名場面⑯
鷲巣編part1『鷲巣麻雀の深淵』

マンガ・アニメ




倉田組が開帳する賭場で大勝するも、己の矜持を貫き死に瀕するアカギ。
間一髪、悪徳刑事・安岡とヤクザの仰木が駆けつけ、九死に一生を得る。

実は、安岡と仰木がアカギを捜していたのには訳がある。
日本の闇の王にして黒幕、鷲巣巌を狩るためだったのだ。

ストーリー

ときは昭和40年、若者が次々と怪死する事件が起こる。
特に目立った外傷はないのだが、死因は大量の血液を失ったことであった。
吸血鬼を思わせる犯行はあまりにも不気味で、世間を震撼させる。

実はその犯人こそ、日本を影で支配する鷲巣巌であった。
先見の明と嗅覚で、戦後の日本を駆け抜けた巨魁。
その男は無尽蔵とも思える金と権力を手に入れ、政官財の全てを牛耳った。
だが、老境に差し掛かり死に怯える鷲巣は若さに嫉妬するあまり、鷲巣麻雀と呼ばれる特異なギャンブルに若者を引きずり込み、毒牙にかけていったのである。

鷲巣を狩るため、悪徳刑事安岡とヤクザの仰木はアカギに勝負を持ちかける。
この怪死事件を揉み消すため、政界や警察等あらゆる権力機関に対して札束攻勢を仕掛け、財のほとんどを失った鷲巣を倒す千載一遇のチャンスを得たからだ。
鷲巣に自分と同じ匂いを嗅ぎ取ったアカギは勝負を引き受ける。

今ここに、“生まれながらの王”鷲巣巌と“神域の男”赤木しげるの戦いが始まろうとしていた。
アカギは己の血液を賭け、鷲巣は己の財産を賭けて争う天をも震撼させる大博打。
若き日の赤木しげると“昭和の怪物”鷲巣巌という異端者同士の邂逅。

その地獄の黙示録は、我々凡夫を博打の深淵へ誘った。




鷲巣麻雀の概要

まず、アカギと鷲巣が戦う鷲巣麻雀について説明しよう。
この麻雀は、通常のものとは異なる特殊ルールである。

勝負は半荘6回戦で、半荘が2回終了するごとに、続行するか終了するかの権利が鷲巣にある。
つまり、鷲巣が劣勢に陥った場合、破産回避のための保険を担保したルールとなっている。

同種牌4枚のうち1枚だけは黒牌で相手からは見えないが、3枚は透けて見える。
すなわち、相手の手牌は、ほぼガラス張りとなる。
だが、なまじ牌が透けて見えるため、大事な場面になるほど踏み込めなくなっていく。
人は知らなければ躊躇なく歩けても、そこに地雷があると知った途端、急に動けなくなってしまうのだ。

ツモるときは、牌を卓の中央にある穴から引いてくる。
当然、盲牌で牌の種類を悟られぬよう、対局中は手袋をする。
アカギの相棒として安岡が、鷲巣のアシスト役に部下が同卓する。
要するに、コンビ打ちが認められるということだ。

レートは、1000点=100万円=血液100㏄。
アカギと鷲巣の間で直撃したとき、あるいはツモあがった場合も支払いの分だけ、半荘の終了を待たずにボーナス払いとなる。

おおまかに説明したきたが、簡潔に言うとアカギは約2000㏄の血液を失うと完全に死に至る。
たとえ2000㏄に満たなくても、鷲巣に倍満や親の跳満を直撃され一気に1600~1800㏄の血液を失うと、ショック死することも十分にありえるのだ。
しかも、通常1500㏄近くの血液を失った時点で、たとえ死に至らなくても意識は朦朧とし、とても麻雀を打つどころではなくなる。
つまり、アカギは半荘6回の全局で1度たりとも気を抜けない、厳しい神経戦を強いられることになるのだ。
いかに狂気のルールなのか、理解できるだろう。

鷲巣の手持ちは5億円(現在の約50億円)であり、アカギの狙いは鷲巣の有り金全部を奪うことである。
一方、鷲巣はアカギの血液を抜き取り、死に至らしめることこそが至福の瞬間であった。

元々、この鷲巣麻雀のレートは、1000点=10万円=血液10㏄だった。
しかし、それでは鷲巣が破滅しないと、アカギが10倍のレートを申し出たのである。
それは事実上、半荘6回全てで鷲巣よりも順位を上回り、なおかつ1度も鷲巣の大物手に振り込んではいけないことを意味した。
鷲巣を破滅に追い込むことまで見据えると、単に順位を上回るだけでは届かず、全ての半荘でトップを取らなければならない。
もし、アカギが上記条件をクリアできても、鷲巣がツモあがるたび血液を抜かれるので、生還できる可能性など無いに等しい。

だが、そんなことは百も承知の赤木しげるであった。


アカギ-闇に降り立った天才 8 (本作品収録巻)

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